“エチケット、エチカがないからどこまでずるずると動物化したわけで、それによって身体性をかなり喪ったと思うんだよね。音楽はどうしても身体的なものだから、それに引きずられるようにして、音楽の身体的なリテラシーが下がってしまった。〈ジャズ・ドミューン〉のあとに〈クラブ・ドミューン〉になるじゃない。Twitterで〈ジャズ・ドミューン〉の間のリプライを全部読むじゃない。読んでいるうちにDJが登場して、TLは「このDJヤバい」ってコメントで埋まるんだよね。それをみていると、ある意味ものすごいリテラシーが高いんだけど、音楽そのものの構造に対するリテラシーはなきに等しいというかね。それは悪い意味ではなくて、そういう状況なんだな、ということですよね。しかもそういったひとたちも数すくないストリーミングでクラブ・ミュージックを聴きたい一部の帰属層っていうかさ、ユース全体ではなくて、アッパー・ユースというか、かつてよくクラブにいったひとたちかもしれない。だからまあ、自分と同じ年配や上のひとたちがどう思っているかは、自分も中年になったからわかってきたけど、いつでも若いひとに刺激を与えるにはどうしたらいいかつねに考えています。50になったら、「いやー、もう若いひとの考えはわからないしねー」って精神的な「引退」をしてもいいわけだけど(笑)、まだそれは考えてますよね。昔のひとはまだ、頭でっかちだといわれながらわざわざクラブに行って「あのDJがヤバい」とかいっていたわけじゃない。いまはそんなことしなくても音楽を聴ける状況ができあがってしまった。音楽の意義がだんだん変わってきていて、レイヴに行くひとなんかはユース全体っていう括りじゃなくて、「レイヴに行くひと」っていう括りに変わっていきつつあるなかで、ユース全体に刺激があると思わせる感覚をもっと研ぎ澄ましてやっていきたい。ゼロ年代もそれはやってきたことだけど、2010年代の展望があるとするとそれですよね。”
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