民主党は、天下りを禁止し、キャリア官僚も定年まで働けるようにする、とマニフェストで約束しました。しかし、それを実行すると、幹部クラスの公務員の数が減らないので、そもそもポストの数が足りないし、各省庁の中には高齢者が溢れかえることになります。
しかも、そのためには様々な規定を改正しないといけないのですが、あまり一気にやるとメディアの批判を受けるので、あまり目立たないように徐々に改正を行なってきています。
具体的には以下のとおりです。
6月 退職管理基本方針を改正
・役所の幹部公務員の民間出向を可能にした
・独立行政法人などの幹部ポストは公募制になっているが、幹部公務員が出向で行く場合は公募を経なくていいと決めた人事管理基本方針を改正
・官民交流促進のため、各省庁の人事担当が民間企業と、人事に関する情報交換を積極的に行なえるようにした
7月 退職手当法施行令を改正
・公務員が出向している期間も退職金の対象となる企業や法人を38追加した(日本郵政、NTT東日本など)
8月 人事院規則の改正
・幹部公務員は所属省庁の所管する企業には出向できなかったが、審議官クラスは、所属する局以外が所管する企業には出向できるようにした
・(規則の運用も改正し)民間交流から戻った幹部公務員が、勧奨退職後・自己都合退職後に出向していた企業に就職することを禁じた(=定年退職後ならその企業に就職することを容認した!!)
要は、公務員の天下りは禁止するけど、代わりに幹部の民間出向を増やすとともに、役所内に新たな幹部用のポストを用意することで、出世コースから外れた幹部公務員も定年まで働けるようにしようとしているのです。
民主党はマニフェストで叫んだ“天下りの全廃”という言葉に拘泥し、自縄自縛になっています。他の政策と同様、公務員制度改革についてもマニフェストの見直しが不可欠ではないでしょうか。
”- 民主党の公務員制度“改悪”で 霞が関が安定志向の“組合”になる|岸博幸のクリエイティブ国富論|ダイヤモンド・オンライン (via serena1719)