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裁判官は弁護側の主張をすべて退けました。
例えば、「被告人が着ていたのはハーフコートであり、目撃証言は『犯人はジャンバーを着ていた』と証言しているから着ているもが違う」という主張に対して は、「確かにジャンバーであるか、ハーフコートであるかはっきりしないが、目撃者は犯人の上着の裾まで見ることが出来なかったと考えるのが自然。「お尻が 隠れる上着を着ていた」という証言と被告の着ていた服の裾の長さが不一致でも不自然ではない」とのことなので「証言は信用できる」
また「目撃証言は『上着の色が白かクリーム色』としているが、被告の上着は真っ白であり、クリーム色に間違えるはずがないので着ている服が違うので犯人ではない」という主張に対しては「色なんてものは照明によって変化する」としました。
さらに「目撃証言で『犯人の身長と自分の身長は同じくらい』目撃者は言っているので6センチ身長が低い被告は犯人でない」という主張に対しては、「被告は 3センチかかとがある靴を履いていた。(だから「差が3センチしかない」と言うと思いきや)さらに目撃者も3センチかかとのある靴を履いていた。その差は 6センチで、満員の電車の中で犯人の身長を正確に把握することは無理」とわけのわからないことを言い出しました。
さらにさらに「こうげん病で指が動かず、動かすと強い痛みを感じるので犯行はそもそも無理」という主張に対しては「犯行前のカルテでは主に薬指の痛みや動 かないことを中心に書かれていて、中指については余りかかれてない」ので「逮捕後にかかれた『中指も痛みがあり動かない』という医師の診断書は信用できな い」つまり、「薬指は動かなかったかもしれないけど、中指は動くでしょ」ということです。この裁判長は指の神経というのがそれぞれ機械のように独立してい て、病気はピンポイントで薬指だけを動かなくして他の指に影響を与えないと考えているのですね。さすがに一般人とは見識が違います。
また弁護側が犯人を目撃者が見続けるのは困難、また満員電車の中で降りるときに2メートルはなれた犯人を捕まえることは困難ということを証明するために 作ったビデオに関しては「電車の中の状況というのは条件によって左右され、正確に再現するのは不可能」なので参考にならないそうです。
ただし目撃者も被害者も犯人の顔を目撃してないことについては「満員電車の中なので自然」としています。
つまり顔も見てない、証言とは背の高さも一致しない、服の色も一致しない、上着の種類も一致しないけれども、見間違いかもしれない、さらに右手の薬指は動かないかもしれないけど中指は動きそうなので「犯人」なのです。
やられたという人がいて、捕まえた人がいて、この人たちには彼を陥れる理由がないでしょう。だから「犯人」なのです。という理屈だと思いますが、こんな薄い根拠でもいいんでしょうか?いいのでしょうね。
けれども「疑わしきは罰せず」という言葉の意味を聞いてみたいものです。
判決後法廷は騒然となりました。
「裁判長、質問です!」
口火を切ったのは息子さんでした。
「なんで犯人が特定できないのに、犯人なんですか}
「退廷しなさい」
「カルテにはずーっと膠原病って7年前からなってるじゃないですか」という奥さんの声。「不当判決!」という抗議の声々。
「退廷しなさい」
「もう閉廷しているんだから何言ってもいいはずだ」という抗議。
「退廷は強制ですか?」
「任意で退廷してください」と係官。
「もう命のない人間をどうするんですか」という奥さんに対して
「退廷させなさい」という裁判長
「ちゃんと調べていただけたらよかったと思いますよ」という奥さんに対して「帰ってください」という係官。
「あなたがこの人を犯人と特定したんですよね」
「最初の段階からずさんなんですよ」
「顔を確認してないのに犯人になるんですか」
「退廷してください」
「主人が死んじゃいます。これは人権問題です」と抗議する奥さんを係官がつかみます。
「私をどうしてそういう風に掴むんですか、私を掴まないでください」
「次の法廷もありますので」という係官
裁判官は「退廷させなさい、退廷させなさい」と繰り返します。
座ってメモを取っている僕に対しても「座っている方も退廷しなさい」と命令します。
奥さんはなおも「最初から見てください。最初の捜査から見てください。主人の命がなくなったら私はどうしたらいいんですか」と抗議します。
「主人が捕まるより私がつかまったほうがいいです。私が変わりに入ります」
「孫が生まれてその1週間後にそんなことするわけないじゃないですか」
「目も痛いんです、耳も痛いんです」
「退廷してください、退廷してください」
「人権の問題です」
「お父さんと変わるわよ、私は!」
「もう一度調べてください。捜査のはじめから」
「あなた達は命のことを考えないのですか!」
「静かにしてください」
被告の小林さんはジッと顔を手で覆ったまま動きもしませんでした。
法廷の外で何か声をかけようと思ったのですが、出てきた小林さんは目が真っ赤で、とても声をかけられるような状況ではありませんでした。
上告するそうですが、最高裁でひっくり返る可能性はかなり低いと思います。ひっくり返らなければ懲役1年10ヶ月の刑が確定します。
この判決を書いたのは安部文洋という裁判長です。またしても忘れてはいけない裁判官の名前が増えてしまいました。
とは言うもののここまで来ていると個人の資質の問題というより、組織として、そういう機関だということですだね。
もちろん痴漢は許せない犯罪です。被害者の方は人にわからない苦しみを抱えているとも思います。が、しかし、この裁判をずっと傍聴してきた僕からすると、この判断はどうなのだろう?と思います。そして被告の方の心中を察すると本当に胸が痛みます。”
- つぶやきいわぢろう | 耳を疑いました…西武線痴漢事件“指が動かないのに”控訴棄却 (via tanigon)
杖を突きながら弱々しく法廷に入ってきた被告の小林さん。
病気がかなり進行しているようです。この判決まで3年、病気を押しての戦いは相当辛い日々だったと思います。そしていよいよ判決が下ります。
「本件控訴を棄却する」
「????」
無罪を確信していた僕は本当に耳を疑いました。
「原判決はおおむね正当。事実誤認は認められない」ということだそうです。
西武池袋線小林事件
05年3月18日西武池袋線石神井駅で当時62歳だった小林さんが電車の中で女性の下着に手を入れ指で膣内に指を入れたとして私人逮捕された。犯行を否認する小林さんはそのまま33日間拘留される。
裁判では目撃証言と小林さんの着ていた上着の種類、色も違い、背の高さも違う。また小林さんは膠原病という病気を患っており、指の関節が曲げられない、ま た併発していた狭窄性腱鞘炎のため曲げ伸ばしは著しく困難な状況であった、と主張するも1審では1年10ヶ月の有罪判決だった。このときの白坂裕之裁判長 は検察から裁判所との交流のために裁判官になり、この判決の4ヵ月後検察庁に戻り再び検察官になっている。
裁判官は弁護側の主張をすべて退けました。
例えば、「被告人が着ていたのはハーフコートであり、目撃証言は『犯人はジャンバーを着ていた』と証言しているから着ているもが違う」という主張に対して は、「確かにジャンバーであるか、ハーフコートであるかはっきりしないが、目撃者は犯人の上着の裾まで見ることが出来なかったと考えるのが自然。「お尻が 隠れる上着を着ていた」という証言と被告の着ていた服の裾の長さが不一致でも不自然ではない」とのことなので「証言は信用できる」
また「目撃証言は『上着の色が白かクリーム色』としているが、被告の上着は真っ白であり、クリーム色に間違えるはずがないので着ている服が違うので犯人ではない」という主張に対しては「色なんてものは照明によって変化する」としました。
さらに「目撃証言で『犯人の身長と自分の身長は同じくらい』目撃者は言っているので6センチ身長が低い被告は犯人でない」という主張に対しては、「被告は 3センチかかとがある靴を履いていた。(だから「差が3センチしかない」と言うと思いきや)さらに目撃者も3センチかかとのある靴を履いていた。その差は 6センチで、満員の電車の中で犯人の身長を正確に把握することは無理」とわけのわからないことを言い出しました。
さらにさらに「こうげん病で指が動かず、動かすと強い痛みを感じるので犯行はそもそも無理」という主張に対しては「犯行前のカルテでは主に薬指の痛みや動 かないことを中心に書かれていて、中指については余りかかれてない」ので「逮捕後にかかれた『中指も痛みがあり動かない』という医師の診断書は信用できな い」つまり、「薬指は動かなかったかもしれないけど、中指は動くでしょ」ということです。この裁判長は指の神経というのがそれぞれ機械のように独立してい て、病気はピンポイントで薬指だけを動かなくして他の指に影響を与えないと考えているのですね。さすがに一般人とは見識が違います。
また弁護側が犯人を目撃者が見続けるのは困難、また満員電車の中で降りるときに2メートルはなれた犯人を捕まえることは困難ということを証明するために 作ったビデオに関しては「電車の中の状況というのは条件によって左右され、正確に再現するのは不可能」なので参考にならないそうです。
ただし目撃者も被害者も犯人の顔を目撃してないことについては「満員電車の中なので自然」としています。
つまり顔も見てない、証言とは背の高さも一致しない、服の色も一致しない、上着の種類も一致しないけれども、見間違いかもしれない、さらに右手の薬指は動かないかもしれないけど中指は動きそうなので「犯人」なのです。
やられたという人がいて、捕まえた人がいて、この人たちには彼を陥れる理由がないでしょう。だから「犯人」なのです。という理屈だと思いますが、こんな薄い根拠でもいいんでしょうか?いいのでしょうね。
けれども「疑わしきは罰せず」という言葉の意味を聞いてみたいものです。
判決後法廷は騒然となりました。
「裁判長、質問です!」
口火を切ったのは息子さんでした。
「なんで犯人が特定できないのに、犯人なんですか}
「退廷しなさい」
「カルテにはずーっと膠原病って7年前からなってるじゃないですか」という奥さんの声。「不当判決!」という抗議の声々。
「退廷しなさい」
「もう閉廷しているんだから何言ってもいいはずだ」という抗議。
「退廷は強制ですか?」
「任意で退廷してください」と係官。
「もう命のない人間をどうするんですか」という奥さんに対して
「退廷させなさい」という裁判長
「ちゃんと調べていただけたらよかったと思いますよ」という奥さんに対して「帰ってください」という係官。
「あなたがこの人を犯人と特定したんですよね」
「最初の段階からずさんなんですよ」
「顔を確認してないのに犯人になるんですか」
「退廷してください」
「主人が死んじゃいます。これは人権問題です」と抗議する奥さんを係官がつかみます。
「私をどうしてそういう風に掴むんですか、私を掴まないでください」
「次の法廷もありますので」という係官
裁判官は「退廷させなさい、退廷させなさい」と繰り返します。
座ってメモを取っている僕に対しても「座っている方も退廷しなさい」と命令します。
奥さんはなおも「最初から見てください。最初の捜査から見てください。主人の命がなくなったら私はどうしたらいいんですか」と抗議します。
「主人が捕まるより私がつかまったほうがいいです。私が変わりに入ります」
「孫が生まれてその1週間後にそんなことするわけないじゃないですか」
「目も痛いんです、耳も痛いんです」
「退廷してください、退廷してください」
「人権の問題です」
「お父さんと変わるわよ、私は!」
「もう一度調べてください。捜査のはじめから」
「あなた達は命のことを考えないのですか!」
「静かにしてください」
被告の小林さんはジッと顔を手で覆ったまま動きもしませんでした。
法廷の外で何か声をかけようと思ったのですが、出てきた小林さんは目が真っ赤で、とても声をかけられるような状況ではありませんでした。
上告するそうですが、最高裁でひっくり返る可能性はかなり低いと思います。ひっくり返らなければ懲役1年10ヶ月の刑が確定します。
この判決を書いたのは安部文洋という裁判長です。またしても忘れてはいけない裁判官の名前が増えてしまいました。
とは言うもののここまで来ていると個人の資質の問題というより、組織として、そういう機関だということですだね。
もちろん痴漢は許せない犯罪です。被害者の方は人にわからない苦しみを抱えているとも思います。が、しかし、この裁判をずっと傍聴してきた僕からすると、この判断はどうなのだろう?と思います。そして被告の方の心中を察すると本当に胸が痛みます。”
- つぶやきいわぢろう | 耳を疑いました…西武線痴漢事件“指が動かないのに”控訴棄却 (via tanigon)