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"九月八日未明、二隻の巡視船に体当たりした中国漁船の乗組員を逮捕した、その直後のことだった。官邸やマスコミヘ、いかに対応するかで騒然とする、東京・霞が関の海上保安庁オペレーションルーム。その片隅で、一人の..."

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九月八日未明、二隻の巡視船に体当たりした中国漁船の乗組員を逮捕した、その直後のことだった。官邸やマスコミヘ、いかに対応するかで騒然とする、東京・霞が関の海上保安庁オペレーションルーム。その片隅で、一人の海保幹部は、事務スタッフから届けられた情報に呆然とした顔を向け、思わずこう漏らした。


 「あまりにも早すぎる……」


 幹部に耳打ちされたのは外務省からの通報だった。中国外務省の報道官が、中国漁船乗組員の逮捕について抗議声明を出したという。
 しかし、逮捕の事実は、まだ報道されていない。しかも、ウィーン条約に定められたとおり、貴国の国民を逮捕した、とする中国総領事館への「領事通報」を行う準備を行っている最中なのである。
 

 幹部は、オペレーションルームのスタッフの一人に駆け寄った。「該船(検挙した中国漁船)の近くに、中国の僚船はいたか?」
 スタッフは、首を左右に振った。
 では、いったいどうやって中国外務省は逮捕の事実を知ったのか……。怪諾な表情で見上げるスタッフに、幹部はひとり頷き眩いた。
 

「こいつは、ミッションシップ(任務船)だ!」


 ちょうど同じ頃、アメリカ第7艦隊に属する、青森県・三沢の監視任務部隊のオペレーションデパートメントは、注目すべき無線の傍受情報を得ていた。それは、検挙された中国漁船から、中国本土に向けられた無線だった。



- 中国漁船はやっぱりスパイ船だった:イザ! (via homh)

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