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"うろ覚えだけれど、伊丹十三のエッセイにこんな話があった。 あるとき、伊丹十三のところに雑誌の取材が来た。 インタビューのあと、カメラマンが写真を撮った。 そのとき伊丹十三は帽子をかぶっていた。 「すみま..."

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“うろ覚えだけれど、伊丹十三のエッセイにこんな話があった。
あるとき、伊丹十三のところに雑誌の取材が来た。
インタビューのあと、カメラマンが写真を撮った。
そのとき伊丹十三は帽子をかぶっていた。
「すみませんが、その帽子を脱いでいただけますか」とカメラマンが言った。
伊丹十三はこう答えた。
「私は自分の判断で自分がよいと思って、いまこの帽子をかぶっている。伊丹十三はこういうときに、こういう帽子をかぶったりすることのある人間である。あなたは、それを止めろと言う。よろしい、では、私は伊丹十三であることを部分的に断念しよう。その代わり、あなたは私たち一家の面倒を一生見ると約束してほしい。私は伊丹十三であることで飯を食っている。それを止めろという以上、あなたには私たち一家を生涯扶養する義務が発生すると覚悟していただきたい。」
こんなにまわりくどい言い方ではなく、もっと「さくっ」と鮮やかな言葉だったのだけれど。”

- 「バブル」後記 (内田樹の研究室) (via iyoupapa) (via petapeta)

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