“●プロモーター逃亡劇
キース・ジャーディン「翌朝10時半頃に朝食に行ったら、プロモーターのティム・フィールズと同じ席になった。何の 問題もないかのように、平然と座ってメシを食う神経がわからない。フィールズは今後の試合予定の話をしてくれた。でもそのとき、頭の中では、有り金を持っ てどうやって逃げるかを考えていたんだ。
フィールズが、「ちょっと部屋に上がってくるよ。やることもあるし、お金もまとめないと活けな い。ここで15分後に会おう」といって出て行った。ところが15分のはずが30分たっても1時間たっても戻ってこない。「あいつら、裏から出て行ったん じゃないか」なんて冗談を言いあっていた。それは冗談でも何でもなかったわけだけど。
選手を待たせたまま、プロモーターたちは実際、ホテ ルを離れようとしていた。ホテルの部屋もすべてキャンセルされ、多くの選手が宿泊場所を失った。解説の仕事で招かれていたセス・ペトルゼリとマイク・ヴァ ン・アースデイルも、ホテルによって私物を道に放り出された。ペトルゼリは結局その夜には、ジャーディンの部屋に居候することとなった。
ジャーディンのチームメイト、アイザック・フラッグ選手が、出て行こうとするプロモーターを捕まえていた。
キース・ジャーディン「ヤツらはすっかり荷造りを終えて立ち去ろうとしていた。靴は履いていたが靴下ははいていなかったそうだ。それで街を出ようとしたんだよ。アイザックに捕まったもんだから、ヤツらは選手全員に小切手を切り始めた」
ポール・ブエンテロ「これは本当に換金できるんだろうか・・・と思っていた。プロモーターは、大丈夫、カネはある、みんな素晴らしいとか言っていた。プロモーターは身長160センチくらいの小男で、自分は彼の前に立ちはだかって見下ろし、プレッシャーをかけてやった。
そ のあとビーチで楽しんでいた束の間に、同行していたセコンドの一人から電話があった。「悪いニュースと、とてもとても悪いニュースがあるんだけど。まず悪 いニュースは、全員がカネは受け取れるわけではなさそうだ。とても悪いニュースは、やつの銀行口座には4000ドルしかないらしい」
ブエンテロはすぐにホテルに戻ってプロモーターに抗議しようとした。部屋に戻ってみると、事態に気がついた選手が自分だけではなかった。ブエンテロが一言発する前に、何人かの選手がプロモーターに飛びかかり、暴力沙汰が巻き起こりそうだった
ポー ル・ブエンテロ「プエルトリコ人が乱入してきたときにはクレイジーだった。まるで「スカーフェイス」のシーンだった。俺だってすごく怒っていた。プロモー ターののど笛を掴んでヒジでも落としてやろうと思っていたんだが、その刹那、身長140センチくらいのプエルトリコ人が割り込んできて、言葉がよくわから なかったんだけど「いますぐぶっ殺す」みたいなことを言っていた。それでしょうがなく、われわれがプロモーターを守ってやったんだ。数千ドルで殺すという のもねえ」
プエルトリコ人はどうやら、観客を300人くらいしか動員出来なかったことにも腹を立てていた。
ポール・ブエ ンテロ「プエルトリコ人がぶち切れていたのは、どうも幾ばくかのカネを受け取って、プエルトリコのジムからケージを借りてきて運搬したのだが、会場が支払 いを受けていなかったので、持ち込むことができなかったという経緯があったらしい。そこからすべてが始まっていたみたいだ」
この時点で選手は、いったん小切手を受け取って帰路についたが、不渡りとなり、現金化できなかった。プロモーターは逃亡している。”
- OMASUKI FIGHT ドミニカン・ズンドコ興行
キース・ジャーディン「翌朝10時半頃に朝食に行ったら、プロモーターのティム・フィールズと同じ席になった。何の 問題もないかのように、平然と座ってメシを食う神経がわからない。フィールズは今後の試合予定の話をしてくれた。でもそのとき、頭の中では、有り金を持っ てどうやって逃げるかを考えていたんだ。
フィールズが、「ちょっと部屋に上がってくるよ。やることもあるし、お金もまとめないと活けな い。ここで15分後に会おう」といって出て行った。ところが15分のはずが30分たっても1時間たっても戻ってこない。「あいつら、裏から出て行ったん じゃないか」なんて冗談を言いあっていた。それは冗談でも何でもなかったわけだけど。
選手を待たせたまま、プロモーターたちは実際、ホテ ルを離れようとしていた。ホテルの部屋もすべてキャンセルされ、多くの選手が宿泊場所を失った。解説の仕事で招かれていたセス・ペトルゼリとマイク・ヴァ ン・アースデイルも、ホテルによって私物を道に放り出された。ペトルゼリは結局その夜には、ジャーディンの部屋に居候することとなった。
ジャーディンのチームメイト、アイザック・フラッグ選手が、出て行こうとするプロモーターを捕まえていた。
キース・ジャーディン「ヤツらはすっかり荷造りを終えて立ち去ろうとしていた。靴は履いていたが靴下ははいていなかったそうだ。それで街を出ようとしたんだよ。アイザックに捕まったもんだから、ヤツらは選手全員に小切手を切り始めた」
ポール・ブエンテロ「これは本当に換金できるんだろうか・・・と思っていた。プロモーターは、大丈夫、カネはある、みんな素晴らしいとか言っていた。プロモーターは身長160センチくらいの小男で、自分は彼の前に立ちはだかって見下ろし、プレッシャーをかけてやった。
そ のあとビーチで楽しんでいた束の間に、同行していたセコンドの一人から電話があった。「悪いニュースと、とてもとても悪いニュースがあるんだけど。まず悪 いニュースは、全員がカネは受け取れるわけではなさそうだ。とても悪いニュースは、やつの銀行口座には4000ドルしかないらしい」
ブエンテロはすぐにホテルに戻ってプロモーターに抗議しようとした。部屋に戻ってみると、事態に気がついた選手が自分だけではなかった。ブエンテロが一言発する前に、何人かの選手がプロモーターに飛びかかり、暴力沙汰が巻き起こりそうだった
ポー ル・ブエンテロ「プエルトリコ人が乱入してきたときにはクレイジーだった。まるで「スカーフェイス」のシーンだった。俺だってすごく怒っていた。プロモー ターののど笛を掴んでヒジでも落としてやろうと思っていたんだが、その刹那、身長140センチくらいのプエルトリコ人が割り込んできて、言葉がよくわから なかったんだけど「いますぐぶっ殺す」みたいなことを言っていた。それでしょうがなく、われわれがプロモーターを守ってやったんだ。数千ドルで殺すという のもねえ」
プエルトリコ人はどうやら、観客を300人くらいしか動員出来なかったことにも腹を立てていた。
ポール・ブエ ンテロ「プエルトリコ人がぶち切れていたのは、どうも幾ばくかのカネを受け取って、プエルトリコのジムからケージを借りてきて運搬したのだが、会場が支払 いを受けていなかったので、持ち込むことができなかったという経緯があったらしい。そこからすべてが始まっていたみたいだ」
この時点で選手は、いったん小切手を受け取って帰路についたが、不渡りとなり、現金化できなかった。プロモーターは逃亡している。”
- OMASUKI FIGHT ドミニカン・ズンドコ興行