西友が「うちより安い価格で販売しているお店のチラシをお持ちいただければその価格にする」という家電業界でおなじみのサービスを開始するそうです。
ところが、じつは、このサービスはもともと、価格を下げるためではなく、価格を高値で保つためのカルテルの手段としてアメリカで考案されたものなのです。
通常、カルテルによる価格の維持は現実的には困難なことが多いといわれています。その理由のひとつが、どこかで抜け駆けして低価格で販売をする裏切りものが生まれてカルテルが崩壊する余地が大きいということです。そのため、他社の価格動向を明確に把握することがカルテル維持には不可欠になります。
「うちより安い価格で販売しているお店のチラシをお持ちいただければその価格にする」というサービスがなければ、各社は自分たちのリソースを用いて他社の動向を日々調査しつづけなければなりません。どこかのお店がこっそり低価格販売をゲリラ的に行っているのを発見するのは不可能にちかいか、可能であってもきわめてコストがかかります。
しかし、「うちより安い価格で販売しているお店のチラシをお持ちいただければその価格にする」というサービスがあれば、自社のリソースを割かなくとも、消費者がかってに他社の動向を調査して情報をもたらしてくれるようになります。きわめて安価にカルテル維持に必要な調査活動が実現できるようになるわけです。
「そうはいってもそれで安く買い物ができればお得なんだからいいじゃないか」と思うかもしれません。しかし、安売りをするライバル店の側の意思決定についてちょっと考えてみてください。
そもそもお店が安売りをするのは、そうすることによって他社からシェアを奪うことができるからです。ところが、安売りをしても他者が即座に追随してくるのであれば、奪うことのできるシェアの量はたかがしれています。そのため、各社はそもそも安売りを行うインセンティブを失ってしまいます。安売りが完全になくなってしまうことはないにしても、抜け駆けのベネフィットが減る分、値下げ幅や回数は減少してしまうことでしょう。
西友がこの点を意図してやっているのか否かはわかりませんが、迷惑なことはやめていただきたいものです。
”- gucciさんのミニブログ – Feecle
2008-12-05 (via netclip, tomato-s) (via glasslipids) (via tsutsuji) (via hsmt) (via naimononedari) (via petapeta)