親父の昔の部下が、転勤して行った先で自殺したらしい。
親父のもとにいた時からコミュニケーションが
上手くとれなくて職場でいろいろ苦労したらしい。
「薬を飲み続けてれば本当に自殺しなかったのか?」
とか聞かれた。わからないとしかいえなかった。
親父はふつうの公務員で、
仕事のあまり出来るほうじゃなかったその人に、
いろいろ世話をやいてやったらしい。
「愛想は悪くなかったが、気分の上がり下がりがあった」という。
仕事は一緒に出来てるから、無理に精神科に
引っ張っていくことはなかったけど、
心配はしていたらしい。
親父が言うには、上司として見ていて、
決して仕事が出来るほうじゃないんだけれど、
本人は「出来る」と見られたがっていたらしい。
すごく最初は愛想が良くて、何でもやろうとするけど、
負荷がかかるとすぐ萎んでしまう。
それに助け舟を出して、親父の部署にいた頃は
グダグダだったけど最後まで仕事は全うできたらしい。
移動した先での評価は「明るくて、頑張ってやれている」
との評価だったらしく、心配要らないといわれて
親父はほっとしていたらしいけど、
「グダグダと」だったその彼を「やれている」と見る上司って
要はちゃんと面倒見てないってことだから、
その彼はきつかったんだろうな、
アクセルを吹かし続けて、限界を超えちゃったんだなと思った。
そんな話を実家で飲みながらしていると、親父が
「能力以上に評価を求めてしまうことが、彼自身を追い詰めてしまったんだな」
とか言い出した。親父なりに、その彼が卑屈にならないように
評価しながら出来る仕事を当ててたらしいけど、
本人が「もっと出来る」といいだして、それを与えると自滅する・・・
だからコミュニケーションがとりにくかったらしい。
彼自身の「こんなもんじゃない。俺はもっと認められるべき」
そんな思いが、彼を追い詰めてたんだろうな・・
家族もわかってなかったし・・・・とか話す。
で、「俺は病気のことはわからんけれども、
こういうのが薬を飲めば治るというのはどうも信じられん。
ほんとに薬で治るのか?」とか言われて参ってしまった。
だから精神科は治癒っていえなくて、軽快というんだけど。
しかし、素人の意見は専門家よりずっと本質を突いていると思う。
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2009-04-29