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" 私は、ジョージ・W・ブッシュが2003年の春にイラクへ侵攻した主要な動機は、原油価格の暴落阻止であったと今も思っています。当時のサダム・フセイ ンは、国連の経済制裁によって、表向きは原油の輸出を厳しく..."

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“ 私は、ジョージ・W・ブッシュが2003年の春にイラクへ侵攻した主要な動機は、原油価格の暴落阻止であったと今も思っています。当時のサダム・フセイ ンは、国連の経済制裁によって、表向きは原油の輸出を厳しく制限されていましたが、シリアなどを通じた闇ルートでかなりの輸出収入を得ていたのです。その 量はバカにならないもので、そのために国際的な原油の市場価格は下方圧力を受けていました。ブッシュはイラクの石油をアメリカが独り占めするために戦争を 起こしたという解説が、国内外の反対派にはありますが、これは結果を見ても誤りです。ですが、原油価格の暴落を防ぎたかったというのは状況証拠から見て非 常に濃厚だと思います。

 そのブッシュの時代には、特に2008年の夏までは、この原油価格の高値誘導というのは「上手く行った」ので す。最終的には、2008年の7月に、1バレルは140ドル台という異常な水準まで上がりました。その要因としては、中国を中心とした新興国の需要拡大も ありますが、直接的にはイラクでの産出量のコントロール、そして戦争の影響での湾岸地区全域での供給抑制などがあったと思います。ですが、2008年9月 の「リーマンショック」に端を発した需要後退は、原油価格バブルを一気に吹き飛ばしました。原油は1バレル40ドル台を割るなど、ある意味でブッシュ政権 が目指したものは全て雲散霧消してしまったのです。

 では、オバマ政権の「原油価格」への姿勢はどうなのでしょう? 金融危機対策から雇 用対策へと、経済政策に関しては対症療法に振り回される一方で、民主党政権としては金融規制も進めなくては、というここ一年半の「オバマの経済」におい て、原油価格に関しては、その指向性はメッセージとしては発信されていません。ですが、そもそも選挙戦では「グリーン・エコノミー」創出する、そこで国内 雇用を増やすということをかなり強く打ち出していました。ということは、オバマも原油高というのを前提に考えていたと言えるように思います。原油高という 圧力がなければ、代替エネルギーの普及を経済合理性が後押ししてくれることはないからです。

 そんな中、世界同時不況により原油価格が低 落し、そして一時ほどではないにしても、現在では70ドル台から80ドル台でウロウロするだけという状況になっています。代替エネルギーを主張したオバマ も、現在はBPのメキシコ湾海底油田流出事故からの復興対策に追われ、雇用か採掘中止かという論争に苦労しているのが現状です。ただ、この事故により、 ブッシュ=チェイニーの路線としての原油高から、メキシコ湾深海油田の開発強化というシナリオはここでひとまずスローダウンした形になりました。まして、 ブッシュ=チェイニーによる原油価格の高止まりを目指したエネルギー戦略、そしてその中でのイラク戦争という要素も、もはや過去のものになった、そう言え ると思います。”

- [JMM]「イラク戦争の七年半で、アメリカは何を失ったのか?」from 911/USAレポート/冷泉 彰彦 (via nakano)

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