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"TKブームの功罪 小室哲哉「功罪ってよくできた言葉ですよね、表と裏があって表裏一体で……。自分で功を語るのは変ですが、この1〜2年でSNSのおかげで、やっとワン・バイ・ワンでコミュニケーションがとれる..."

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TKブームの功罪

小室哲哉「功罪ってよくできた言葉ですよね、表と裏があって表裏一体で……。自分で功を語るのは変ですが、この1〜2年でSNSのおかげで、やっとワン・バイ・ワンでコミュニケーションがとれるようになりましたよね。例えば、あの曲のこのフレーズ、この言葉、この1行があったから、失恋した時、就職した時に助けられたとか、次の日も元気でいられたとか、あの1行がなかったら下手したら自殺してたかもしれません、とかっていう言葉をSNSでもらうようになって。当時は何百万枚という数字のみで『売れてるんだな』とか『みんな気に入ってくれてるんだな』ってくらいしかわからなかったことが、やっと伝わるようになった。そうした声を全部読ませてもらっているので。あるとするなら、それが功かもしれない。フレーズ1個だけで次の日の気持ちが少し軽くなれたりとか、そういうことには役に立ってるなって感じたりするんですけど」

 ―本当にそうですよ。

小室「罪は、音楽業界は上手く仕掛ければお金になるというか、ビジネスとして成立すると勘違いをさせてしまったことでしょうね。実際はそんなに上手くいくものじゃないんですけど、本当に猫も杓子もって感じでガンガンCMを打って、お金を使えば売れるっていう……。90年代は、僕以外にもミリオンセールスがたくさん出ていて、月9の主題歌とか、僕なんかよりも、もっと売れた曲もたくさんあった。そういう時代だったと思うんです。今は売れない時代と言われるけど、もしかしたらこれが当たり前かもしれない。必死にライヴをやって、汗をかいて苦労して、やっと『好きな音楽で食えてるからいいじゃん』っていうぐらい……、音楽ってそのくらいで当たり前かもしれないのに。ITみたいに、ミュージックビジネス・インダストリーにしてしまったところは、僕が勢いづけてしまったかなとは思います。僕の前にも、ビーイングさんとかがカラオケを盛りあげていたり、いろんなアイテムが混ざってあそこまでなったとは思うんですが。いずれにしても90年代の音楽は、最高7千億円くらいの市場にまでなったのですから、後はダメになっていくしかない」

 ―まあ当然と言えば当然ですよね。

小室「勉強して、しっかりリスクヘッジをするところまで考えていったのが、その後のベンチャーの人たちですよね。だんだん頭が良くなってきているのは確かかもしれないから、罪といえば罪かもしれないけど、もしかしたら必要悪みたいなもので、僕が堕ちて行ったのはよい教訓というかお手本になったのかもしれない。堕ちていくお手本(苦笑)。2000年に近づく頃は、インタヴューの時に『ソフトランディングはできないと思う』ということを、よく言ってた気がします。飛んだまではよくて、そのまま気持ちよく水平飛行で飛んでたんだけど、降りれないみたいな(笑)」

 ―もう墜落するしかないという?

小室「ですね。結果、墜落しちゃった。まあでもそれも、落としてもらったと今は思っていますけど」



- ローリングストーン日本版 2015年9月号、セブン&アイ出版 (via shbttsy74)

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