“死刑執行官の回想より
我々は彼らに気づかれないように「お迎え」に行くときには
ことさら平静を装って房に近づくのだが、彼らに言わせると
やはりいつもと違ったテンポの音がするという。
その靴音が扉の前に止まったときは絶体絶命だ。
我々は、「お迎えが来た」
ただそれだけをしずかな口調で告げる。その瞬間、彼らのほとんどは
蝋人形のように血の気がさっと引いて目を大きく開いたまま
引きつったようになってしまう。
この恐怖の時間は2・3秒で急転する、気を取り直して落ち着くもの
暴れ廻るもの、失心してしまうもの・・・
たいていこの三つに分けられる。落ち着いているものには、
やはり40過ぎの囚人が多いが、その中でも「お待ちしてました」
といえるものは何人もいなかった。大部分は心身喪失状態になる。
どんなに教誨師の導きに従って、静かに読経していたものでも
この瞬間には変貌してしまう。
新聞などに短歌を投稿し、一流歌人として評価されていた囚人も
歌の中で「死を恐れていない」と毅然とした心境を語っていたが
そのときがくると急に凶暴性を剥き出しにしてこちらに
向かってきたものだった。”
- 死刑の歴史 (via ph-erh)
我々は彼らに気づかれないように「お迎え」に行くときには
ことさら平静を装って房に近づくのだが、彼らに言わせると
やはりいつもと違ったテンポの音がするという。
その靴音が扉の前に止まったときは絶体絶命だ。
我々は、「お迎えが来た」
ただそれだけをしずかな口調で告げる。その瞬間、彼らのほとんどは
蝋人形のように血の気がさっと引いて目を大きく開いたまま
引きつったようになってしまう。
この恐怖の時間は2・3秒で急転する、気を取り直して落ち着くもの
暴れ廻るもの、失心してしまうもの・・・
たいていこの三つに分けられる。落ち着いているものには、
やはり40過ぎの囚人が多いが、その中でも「お待ちしてました」
といえるものは何人もいなかった。大部分は心身喪失状態になる。
どんなに教誨師の導きに従って、静かに読経していたものでも
この瞬間には変貌してしまう。
新聞などに短歌を投稿し、一流歌人として評価されていた囚人も
歌の中で「死を恐れていない」と毅然とした心境を語っていたが
そのときがくると急に凶暴性を剥き出しにしてこちらに
向かってきたものだった。”
- 死刑の歴史 (via ph-erh)